日本で自家用車を使用して有償で人を運ぶ「日本版ライドシェア」が始まってから半年が経過しました。しかし、サービス提供地域が徐々に増えているにもかかわらず、運行時間などの制限が厳しく、タクシー会社は事業拡大にあまり積極的ではないのが現状です。特に訪日外国人客からの需要増加が見込まれる中で、ライドシェアのさらなる普及について慎重な議論が求められています。
ライドシェア運行の現状について、複数のタクシー会社と提携している配車アプリの担当者は、「多くの小規模タクシー会社でライドシェアの運転手を確保できず、許可された台数に達しない状況が続いている」と説明しています。
日本版ライドシェアは今年4月に東京と京都で開始され、その後、10月1日時点で大阪や北海道など全国31地域に広がりました。配車アプリ企業もタクシー会社と提携し、定められた時間帯や地域でライドシェアのサービスを提供していますが、現状は依然として制限が多く、特に運行時間の制限が大きな課題となっています。
大阪市とその周辺地域では、ライドシェア車両の運行は週に2日間、金曜日の午後4時から8時と、土曜日の午前0時から4時、午後4時から8時に限られています。このように運行時間が限られているため、ライドシェア専任の運転手が安定した収入を得るのは難しく、魅力が薄いとされています。
さらに、運行できる車両の台数も制限されています。たとえば、大阪エリアでは午前0時から4時の間、最大で420台の運行が許可されていますが、タクシー会社が運転手を十分に雇用できず、その枠を使い切れない状況です。
また、サービス提供地域も限られており、関西国際空港のような訪日客が多く集まる場所では、ライドシェアの車両が利用できないと指摘されています。大阪でライドシェア運転手に内定している男性も、「関空でお客さんを乗せられないのは大きな機会損失です」と話しています。
こうした厳しい制限と利益の見通しが低いため、多くのタクシー会社はライドシェアに積極的ではなく、「通常のタクシーで需要に応えられれば問題ない」との考えを示しています。特に都内の大手タクシー会社では、ライドシェアを拡大する目標を立てることなく、現状維持を重視しています。
しかし、訪日客の間でライドシェアの需要は高まりつつあります。東京を拠点とする「ウーバージャパン」によると、都内でのライドシェア利用者の8割以上が外国人です。ウーバーのアプリを使えば、日本語が話せない訪日客でも安心して移動ができるため、海外からの旅行者にとっては非常に便利です。
需要が急増した際には、「車両不足が生じるケースもある」とウーバーの担当者は述べています。今後、運転手や対象車両が十分に増えなければ、訪日客の需要増に対応できなくなる恐れがあります。
このような課題に対し、ウーバージャパンは9月からカーシェアリング車両を使った実証実験を開始しました。自家用車を持たない人でもライドシェアに参加できる仕組みを整え、運転手不足を補う取り組みが進められていますが、その効果はまだ未知数です