アウディ TT RS マニュアル – 完璧な5シリンダーエンジン

アウディ TT RS マニュアル – 完璧な5シリンダーエンジン

近年の自動車業界では、デュアルクラッチやオートマチックトランスミッションが主流となり、マニュアル車の存在感は薄れつつある。しかし、その中でも、2.5リッター5気筒ターボエンジンと6速マニュアルを搭載したAudi TT RSは、今なお魅力的な選択肢のひとつと言える。

Audiの2.5リッター5気筒エンジンは、どのモデルに搭載されても圧倒的な個性を放つが、マニュアルトランスミッションと組み合わさることで、さらに特別なドライビング体験を提供する。このエンジンは、近年の数々の賞を受賞し、その実力が証明されている。最新のRS3がニュルブルクリンクで従来モデルよりも7.5秒短縮したことは、そのポテンシャルの高さを裏付けている。ただし、7速DSGのフィーリングには賛否があり、特にアグレッシブなドライビング時には物足りなさを感じることもある。

一方で、TT RSはRS3と比較すると注目される機会が少なくなりがちだ。しかし、2025年の今となっては、Mk2 TTの洗練されたデザイン、情熱的な2.5リッターエンジン、そしてマニュアルトランスミッションの組み合わせは、非常に魅力的に映る。TT RSは2009年のジュネーブモーターショーでデビューし、2014年に3代目TTが登場するまでの間、高い人気を誇った。しかし、この3代目からマニュアル仕様は姿を消し、現在では初期の6速マニュアル仕様が希少な存在となっている。

マニュアル車はドライバーがクルマとの一体感をより深く味わえる点が魅力であり、特にAudiの象徴ともいえる5気筒エンジンと組み合わさることで、その価値はさらに高まる。新車時には利便性の高いDSGが好まれたものの、時を経た今では、マニュアル仕様の方がより特別な存在として注目を集めている。

今回紹介する2011年式のTT RSは、低走行距離で非常に美しいコンディションを保っている。車内はシンプルでありながら洗練されたデザインで、Apple CarPlayの導入により利便性も向上。メーター周りのデザインも秀逸で、センターコンソールに鎮座する6速マニュアルは、Audiのスポーツモデルの中でも特別な存在感を放つ。外装では、19インチホイールにミシュラン・パイロットスポーツ5(2024年12月装着)が組み合わされ、2024年後半には専門店でメンテナンスを受けている。さらに、現オーナーはV-Powerを使用してきたという点も、エンジンの健康状態を考えると好材料だ。

将来的な価値予測は難しいが、英国市場で2.5リッター5気筒エンジンとマニュアルトランスミッションを組み合わせた唯一のAudiであることを考えれば、その希少性が評価される可能性は高い。クラシックカーの要素と現代の実用性を兼ね備えた1台として、今後さらに注目を集めるかもしれない。そして、この特別なTT RSが提供される価格は16,995ポンド。最新のRS3と比較すれば、非常に魅力的な選択肢と言えるだろう。